大学広報誌えんのき No.53.2006年 秋号01
工×芸=∞
学生による工・芸共同研究
本学は工学部と芸術学部という、それぞれ特色ある2つの学部から成り立っています。これは、大正12年2月に設立された本学の前身である「小西写真専門学校」が、当時最先端のメディアである写真を普及させるため、表現と技術の教育を目的としていたことに由来しています。
以後本学はメディアの進化に伴い、旧制専門学校、短期大学を経て現在の2学部10学科と大学院(2研究科)、写真別科を擁する総合大学へと発展してきました。
こうしたユニークな学部・学科から、さらに新たな研究や表現を生み出すために、工学部・芸術学部の連携をさまざまな形で推進しています。平成15年度からは、両学部の「教員による工・芸共同研究」への支援事業を大学全体で推進しています。そして、今年度からは新たに、両学部の学生が協力して取り組む優れた活動に対して大学全体で支援することを決定しました。
Co-G.E.I.チャレンジ2006
学生による工・芸共同研究は、7月に「Co-G.E.I.チャレンジ2006」と銘打って学生からの提案を募集しました。この募集に対して8件の応募があり、9月13日に審査委員会(委員長:小林信行学長)へのプレゼンテーションと審査が行われました。審査は申請書とプレゼンテーションの内容について、5つの観点から厳正かつ慎重に執り進められ、その結果5件が採択されました。
今回採択されたそれぞれの活動が成功し、すばらしい成果を収めることが期待されています。採択された活動の成果は、活動終了後、大学ホームページを通じて発表する予定です。また、外部団体主催のイベント等にも積極的に参加することが予定されています。
Co-G.E.I.......Cooperative Good Educational Innovation(協同して取り組む、優れた教育的革新)の頭文字をつなげた造語
学外ラリーへの参加を目指す完全自作による電気自動車の製作
小林 亮太【工学部 システム電子情報学科2年】他13名
今回、大学から貴重な機会を頂き、私をはじめEVラリーへ参加するために集まったメンバーはやる気十分です! 現在工学部7名、芸術学部7名で1歩ずつ完成へ向け作業に着手しております。モノづくりが初心者ばかりで完成まで不安はありますが、松井教授、粂田教授にアドバイスを頂きながら、メンバーが、一致団結して工芸大らしさの伝わる電気自動車を作り、2007年の四国EVラリーへの参加を果たしたいと思っております。
光・水・映像が生み出す神秘的な地球再現プロジェクト
築地 由知【工学部 コンピュータ応用学科3年】他5名
仮想の地球を透明なアクリル球で制作して、地球や様々な情報をプロジェクタで投影し、擬似的な地球を創り出します。それはパソコン画面に映し出される平面的な地球や、机の上に飾ってある地球儀ではなくて、人と同じくらいの大きさの地球であり、インタラクティブ性を有します。工学部と芸術学部が協力し、特性を生かして作品を創作する、私たちのサークル「インタラクティ部」では今までの経験を活かし、最高の成果を出すことを目的としています。
第24回デザイン・フェスタ出展
富田 兼次【芸術学部 アニメーション学科3年】他6名
12月2日、3日に東京ビッグサイトにて、アート・イベント「第24回デザイン・フェスタ」開催されます。オリジナル作品であれば表現方法は自由で、作品販売もできるという「アートのフリーマーケット」とも言えるイベントですが、アニメーション学科の学生が主体となった僕たちのグループは、両日に渡って出展します。それぞれが制作した短編アニメーション作品の上映や、携帯電話向けの待ち受け用静止画・アニメーションの発表などを行います。
学内授業交流作品展
寅野 就【芸術学部 デザイン学科VCコース2年】他9名
それぞれの学科が制作した作品を、他の学部・学科の人達にも制作してもらい、また、自分達も他の学部・学科の作品を制作する。それによって、学内の学部・学科との授業交流を図るものです。具体的にはお互いの授業内容、及び課題内容を報告し、各々が制作した作品のプレゼンテーションを行う。そして学外(ギャラリー等)でグループ展という形にして発表し、最終的には作品集としてまとめます。
映画制作「偽装誘拐事件」制作委員会
佐藤 剛平【芸術学部 映像学科4年】他8名
工・芸共同研究で生み出したいもの、それは新しい映像表現です。今では映画で当り前のように使われているCG。もともとCGは図形処理の一つの技術にすぎませんでした。「マトリックス」という映画で使われた「ブレットタイム」と呼ばれる技術は、マトリックスが制作されるずっと前から実験映像やMVで使われていました。このように画像技術を劇映画中の一つの演出として活かし、新しい映像表現として息を吹き込みたいと思います。
教員による工・芸共同研究
工学部及び芸術学部の教員による共同研究は、学長を委員長とする審査委員会へのプレゼンテーションと書面審査により毎年度審査が行われ、平成15年度から8件の研究題目が採択されています。採択された研究題目はいずれも、芸術的な表現活動や工学的な技術研究を組み合わせた、先端的なテーマとなっています。これらの研究成果については、9月13日に今年度の成果報告会が開催され、過去に採択された5件の研究成果について2時間近くにわたって熱のこもった報告と質疑応答が行われました。また、研究成果の一部には新しい試みとしてすでに授業に取り入れられているものもあります。
新しい小型移動体コンセプトの策定とこれを実現する電気駆動系の開発
松井 幹彦 (工学部システム電子情報学科・教授)
粂田起男(芸術学部デザイン学科・教授)
永井孝也(芸術学部デザイン学科・講師)
高梨令(芸術学部デザイン学科・講師)
熊丸健一(芸術学部デザイン学科・助手)
四国EVラリーに協力したことが、工学部との共同研究の始まりでした。これは松井幹彦教授の研究室で開発したハイブリッド電気自動車のスタイリングを担当したものです。現在では本当の意味でのデザイン、つまりコンセプトを策定し、世の中に価値のあるものを提案していくことをテーマにしています。具体的には車椅子用電動パワーアシスターなど、小型移動体のコンセプトの策定です。それを実現するのが工学部での電気駆動系の開発です。これからも芸術学部として様々な提案を行っていきたいし、工学部からも提案を頂きたい。お互いに情報のキャッチボールを繰り返すことが刺激となり、学生達のモチベーションは確実に上がっていきます。
粂田 起男 芸術学部デザイン学科教授
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アーティストが容易に利用できる入出力デバイス技術のパッケージ開発
浅野 耕平 (芸術学部メディアアート表現学科・助手)
久米祐一郎(工学部メディア画像学科・教授)
堀尾寛太(芸術学部メディアアート表現学科・助手)
さまざまなマルチメディア技術や、インタラクションに関わる技術の進展は「インタラクティブアート」と呼ばれる芸術分野を生み出しています。これは新しいアートの形態であると同時に、メディア技術の応用と実験を担うものです。しかし、多くのアーティストにとって、ハード・ソフトウェアの変更・開発は大変難しいものです。本プロジェクトでは工学部メディア画像学科との共同研究により、アーティストが容易に利用できる入出力デバイス技術のパッケージ開発を行っています。工学的な発想にふれることによってイマジネーションは広がり、新たな芸術活動が数多く生まれる可能性を持っています。今後は共同研究だけでなく、工と芸が共通の授業を持てたらいいと思います。
堀尾 寛太 芸術学部メディアアート表現学科助手
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(研究代表者及び共同研究者の所属・職位は採択年度当時)



