写真家の村井修氏が日本建築学会文化賞を受賞

 日本を代表する写真家、村井修氏が日本建築学会文化賞を受賞されました。受賞理由は「日本の現代建築・彫刻・街並みを国内外に伝え、その空間を鋭く定着した業績」。村井氏は本学の卒業生(東京写真工業専門学校卒)であり、20年以上にわたり本学の講師を務められた偉大な先輩です。


写真家 村井修 日本建築学会の文化賞を受賞されたご感想をお聞かせください。
今回の受賞は建築だけではなく、彫刻や街並み、生活、風土などの建築の周辺を含めて高く評価していただけたことがうれしいですね。私はいわゆる建築写真家とは違う姿勢で、建築を取り巻く周辺を撮影してきました。建築写真家という立場ではなく、写真家として、日常の生活や芸術など建築を背景にした周辺にも目を向けてきました。「写真家の目で見た建築」ということです。

周辺を含めた建築写真。始めたきっかけは。
医者になるつもりでしたが、家庭の事情で突然、写真の道に進むことになり、東京写真工業専門学校に入学しました。学校と言っても戦後の焼け残ったバラックですよ。暗室の天井も星空が見えるような、そんな状態でした。卒業後、様々な写真を撮りましたが、立体造形に興味があり、当時は無名だった彫刻家の流政之さん(日本を代表する国際的彫刻家)の仕事をするようになりました。こうしたことが、建築だけにとらわれない、幅広い視野や見方につながっていったのだと思います。

若い写真家に伝えたいことは?
今は写真が写ってしまう時代。誰でも撮れてしまう。だから感覚だけで登場する写真家もいますね。そこに危うさを感じています。対象をよく調べ、理解する。そして論拠を持って撮影する。それが「写真の美学」だと思っています。


プロフィール
1928年愛知県生まれ。50年東京写真工業専門学校(現東京工芸大学)卒業。常にフリーな立場で建築・美術・街並を対象に50年を越える長い期間にわたって第一人者として現役で活躍。68年から90年まで東京写真大学・東京工芸大学の講師として後進の教育と本学の発展に貢献。

主な活動
67年 米Life誌の連載「The Family」の日本編を担当
86~87年 「世界の広場と彫刻」展(日本各地)
93年 「HARMONY /Sculpture& Environment」展
    (ハーバード大、ローマ、テラモ、ソウル、日本各地)
94年 「石の記憶」展(ニューヨーク、東京)
99年 「村井 修の空間」展(東京・写大ギャラリー)
01年 「シドニーオペラハウスの光と影」展(東京、大阪)
06年 「都市の記憶」展(東京) 他

主な著書
「世界の広場と彫刻」(現代彫刻懇談会編・第37回毎日出版文化特別賞)
「石の記憶」(写真賞・第6回東川賞)など大著作は21冊に及ぶ