科目名 アート&サイエンス概論(Introduction to Art and Science)
担当教員 石黒 敦彦
単位数 2
授業区分 学部_選択(学科目外) 講義
年次配当 1
開講年度学期 2018年度 後期
授業概要・学習成果との関連 「アート&サイエンス概論」は、科学と芸術の「境界」から生まれる、新しい工学、芸術、デザインについて学ぶ講義です。
芸術と工学、両方の学生が共有できる目標として、「科学、芸術、そして人間の知覚のミュージアム」という思想(米国の先端的な科学美術館Exploratoriumの標語)を中心にして、15回の講義を行います。
「アート&サイエンス」は、今、世界中のアーティスト、デザイナー、科学者、大学、ミュージアムが取り組んでいる大きなテーマであり、「工芸大学」の「工学+芸術」という理念も、そうした中に数えられます。
芸術家・デザイナーが工学系の技術を学ぶとき、どんな創造が起きるか? 科学者・エンジニアが、アートの発想を取り入れたとき、どんな発明、技術革新が起こるか? そうした「複眼的な思考」が生み出す、技術とアートのイノベーションを、ダ・ヴィンチ以来500年間のたくさんの事例を見ながら、学んでいきます。
到達目標 科学および工学技術がアート、デザイン、メディアの発展と非常に深い関わりがあることを、具体的な作品実例と歴史的な500年の流れ(ルネサンス~近現代)を通して学ぶ。受講生各自が鑑賞あるいは表現・研究・制作する状況に向き合うときに、つねにアートとサイエンスの両方から発想できる複眼的な思考と研究姿勢を身につける。 
授業計画 1、イントロダクション「アート&サイエンスとは何か」
授業内容、成績評価の方法についての説明。工学系と芸術系の発想・思考が相互乗り入れする「境界領域」としてのアート&サイエンス、デザインサイエンスの紹介。

2、科学、芸術、テクノロジーの新しい関係1
「科学、芸術、そして人間の知覚のミュージアム」=科学美術館について学ぶ。

3、科学、芸術、テクノロジーの新しい関係2
万国博覧会という巨大な実験場によって、建築、テクノロジー、メディアアート、環境芸術などが発展してきた歴史を学ぶ。

4、「陰影」のデザインサイエンス
「日本の最も優れたデザインの本」と世界から評価される谷崎潤一郎「陰翳礼讃」のデザイン思想を中心に「光と闇」のアートとサイエンスを学ぶ。

5、「拡大と縮小」のアート&サイエンス
宇宙から細胞、原子までを巨視的な視点でとらえるアート&サイエンス。

6、拡大する技術と芸術表現・1
芸術概念の拡張と消滅。インターメディア、ビデオアート、サテライト・アートからインターネットへ。

7、拡大する技術と芸術表現・2
サイエンティフィック・ヴィジュアライゼーション(科学的可視化)。「印字」「印画」「印刷」の終焉と可視化技術(visualization)。Printerの変貌(3D printer)。

8、拡大する技術と芸術表現・3
社会と芸術。アーツ&クラフツ運動からヨーゼフ・ボイス「社会彫刻」ナムジュン・パイク「サテライトアート」まで。社会芸術・社会デザインとメディア、テクノロジー。

9、「セレンディビティ」と科学、芸術
発見・発明を産む直観「セレンディビティ」と科学、芸術の関係を、世界初のメディアアートの展覧会「サイバネティク・セレンディビティ」(1968)などを例にして考察する。

10、視覚心理的あるいは認知科学的なアプローチ
視覚と錯覚、錯視アートと脳科学、二次元と三次元の情報処理、「不可能の三角形」とエッシャーの絵について。

11、視覚心理的あるいは認知科学的なアプローチ
色彩の科学と芸術、芸術療法における色彩体験、環境芸術と色・光の体験。

12、デザインサイエンス・1
近代デザイン(バウハウス)からデザインサイエンスへ。

13、デザインサイエンス・2
B.フラーの「宇宙船地球号」のサイエンスとアート(アート、テクノロジー、サイエンス)。デザインサイエンス革命としてのフラーレン、ゴールドベルク多面体。

14、惑星文化とデザインサイエンス
バイオアート、バイオスフィア、テラフォーミングについて。グローバリズムとは異なる惑星文化のアートとデザイン。

15、アジアン・デザインの21世紀
アジア全域が共有する3000年のデザイン資源を21世紀の情報環境の中で捉え直す「アジアン・デザイン」の思想。また竹を「デザイン素材」として捉え直す、竹のアート&サイエンス、デザインサイエンスの展開。


上記は年度当初予定である。進行の都合により前後する場合もある。また上記の15項目を分離・再編集して講じる場合もある。変更点などは随時告知する。 
履修上の注意 芸術系、工学系、それぞれから履修が可能である。
準備学習(予習,復習について) 予習:前回の講義で「次回までに調べておくように」指定された映像などはネットで見ておくこと。
また、教科書欄で推薦した坂根厳夫『メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い』は、なるべく購入して、読んでおくこと。
復習:講義中にチェックすることを指示された映像などは、当日内にネットで見て、復習してほしい。
成績評価方法,試験方法及び課題(試験やレポート等)に対するフィードバックについて 出席が50%を切った場合、レポートが提出されていても不可となるので注意。
レポート2回、アンケート1回の提出と出席状況で評価される。
試験は行わない。
教科書等 開会、テキストを配布する。教科書は指定しないが、講義とほぼ重なる内容の下記の本は、なるべく購入して手元に4年間おいてほしい。
坂根厳夫『メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い』(工作舎)
(※学内限定となります。)