基礎教育 基礎教育

基礎教育課程とは、芸術学部全学科の学生が共通して履修する課程です。各学科における専門教育の土台となる知識・感性・思考力の育成を目的としており、「芸術基礎」「人間科学」「コミュニケーション」「キャリア教育」の4つの区分で構成されています。

学生は定められた科目・単位数を踏まえた上で、それぞれに開設された多種多彩な科目の中から、自身の興味や関心に応じて自由に組み合わせながら受講することができます。

基礎教育

メディア芸術時代のクリエイターの「基礎」を築こう

現代のクリエイターを取り巻く環境は、一昔前と比べて格段に豊かになっています。何か作品をつくるにしても、昔ながらの画材だけではなく、写真・映像・CGなど多彩な表現方法から選ぶことができますし、それを発表するにしても、展覧会場のように限られた空間のみならず、テレビ・新聞・雑誌といったマスメディア、あるいはインターネットを通じて気軽に世界中に発信することすら可能です。意志と能力さえあれば、誰でもクリエイターとして活動できる時代、それが現代なのです。

しかし、誰もが、多くの人の心を打つ作品を生み出すことができるわけではありません。作品とは、クリエイター自身が置かれている世界を知り、深く考え、解釈した成果です。そして、そこに込められた「伝えたいもの」が非凡であるからこそ、人々の心を強く動かすことができ、それは芸術と呼ぶに値するものとなるでしょう。そうした魅力あふれる作品を生み出すには、何よりもまず、これまでの芸術に対する豊かな見識が求められます。既存の作品を真似ただけのニセ物も、思いつきや感覚だけでつくられた安易な作品も、すぐに見破られ飽きられてしまいます。クリエイターこそ、誰よりも芸術を知らなければなりません。知らなければ、自身のアイデアや表現方法が非凡なのかどうかわかりませんし、ましてや参考にすることも、そこから離れることもままならないのです。

かといって、芸術だけ分かっていればよい、というわけではありません。芸術は文化の一部であり、文化はそれを育んだ政治・社会・経済・歴史などと繋がり、ひいては人間そのものと本質的に結びついています。そして人間を生み出した自然や環境も深い関わりがあるでしょう。その芸術を享受するのもまた、人間です。特に現代のクリエイターの活動は、かつてのように特権階級が独占していた時代とは異なり、不特定多数の人々に向けられています。さまざまな背景を持ったさまざまな人々に対して「伝えたいもの」とは何なのか、自分の興味だけに閉じこもっているだけでは、決してその答えは見つかりません。人間に対して、自然に対して、世界に対して、常に好奇心をもち、幅広く知識や教養を吸収していくなかで、クリエイターの感性はより強靭に磨かれ、豊かになっていくことでしょう。

さて、こうして魅力ある「伝えたいもの」を見出したとしましょう。では、それをどうやって実現し、多くの人々のもとに届けたらいいでしょうか。クリエイターの活動は、ただ作品をつくれば完結するものではありません。非凡なアイデアは時に難解で理解されないこともありますし、映画やアニメーションなどのように多額の資金を要したり、さまざまな人々に協力してもらわなければ作品を形にすることすら叶わない場合もあります。やはり現代の芸術活動は、決してひとりでは成り立ちません。他者と交わり協働していくための柔軟性、そのなかで自身の意志を明確に主張する力、集団的な制作を率いていくリーダーシップ、活動の場を広げていく語学力など、こうしたコミュニケーションの力はクリエイターに欠かせない資質のひとつなのです。

そして、現代におけるクリエイターのあり方も多岐にわたっています。昔ながらの芸術家のように活動していく方法も、企業に就職して身につけたスキルを組織の中で活かしていく方法もあります。また経験を積み重ねて独立することもありうるでしょう。自分の「伝えたいもの」を、今後どのような立場で伝えていくのか、明確なヴィジョンが必要なのです。誰もがクリエイターになりうる時代であるからこそ、優れたクリエイターになるためには、自身のキャリアをどのように設計していくかについて無関心であってはなりません。

このように、現代のクリエイターには、実にさまざまな資質や能力が求められています。 基礎教育課程のカリキュラムは、こうした実情を踏まえた上で、メディア芸術教育の拠点である本学にふさわしく、工夫をこらした構成となっています。「芸術基礎」「人間科学」「コミュニケーション」「キャリア教育」の4つの区分は、そのどれもが、優れたクリエイターとして社会へ羽ばたくために欠かすことのできない「基礎」です。ぜひ、本学での4年間を通じて揺るぎないものとし、メディア芸術の未来を切り拓いていってください。

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