足跡

2018.2.4

想像力を駆り立てる動物の肖像写真『左斜めの肖像写真』

「芸術学部卒業・大学院修了制作展2017」スペシャルインタビュー
写真学科 上田研究室(肖像写真) 古澤希夢さん

2017年の「芸術学部卒業・大学院修了制作展」で印象に残った作品の制作者へのインタビュー。写真学科上田研究室(肖像写真)の古澤希夢さんは人間ではなく、動物の肖像写真を撮影しました。

写真学科の展示会場に、ひときわ想像力を駆り立てる肖像写真がありました。写真学科上田研究室(肖像写真)の古澤希夢さんの撮影した鳥の肖像写真です。 古澤さんの卒業制作「左斜めの肖像写真」は鳥だけでなく、様々な動物を左斜めから撮影した20枚の組写真。
「人間の左側の顔には右脳が深く関係しており、本音が現れやすく人間味が伝わり魅力的に感じる」と言われています。動物も同じように左斜めの角度から撮影してみたらどんな顔が撮れるかとチャレンジした作品です。

写っている鳥の貴婦人のような姿を見て、真っ先に頭に思い浮かんだのは、撮影スタジオによく調教した鳥を連れて来き、照明を当てて「さあ、撮るよ」と写真を撮っている光景です。そのことを伝えると、「(写っている動物は)全て動物園で撮影しましたよ。普通の動物たちです。あの鳥の写真もたまたま鳥舎の後ろに壁があったのでスタジオで撮ったもののように見えたのだと思います。動物の顔をじっくりと眺め、動物の人間味のある顔を感じてもらえたら…と思っています」と古澤さん。

インタビューは、作品の撮影でも利用した多摩動物公園で行いました。小柄な身体に、大きなレンズをつけたカメラを抱え、待ち合わせに現れた姿が印象的。早めに来て動物たちの撮影をしていたそうです。カメラやレンズについて聞くとニコニコとその性能について語ってくれました。

古澤さんが写真に興味を持ち始めたのは子供の頃。遠足に同行したり、入学式などの集合写真を撮影したりしてくれるカメラマンたちに憧れを抱いたのがきっかけです。

中学生のとき、貯めていたお年玉ではじめて一眼レフカメラを買って以来、カメラやレンズに魅せられ、大学に入りアルバイトができるようになっても、ほとんどをその購入費や撮影の際の交通費に当ててきました。今回の作品もカメラの連写機能やレンズの望遠機能によって実現できた表現だと言います。「でも、そう言うとカメラやレンズの力だけでできたみたいに伝わっちゃいますよね。やっぱり実力ですって書いてくれます?」と笑う古澤さん。 けれど、カメラやレンズにこだわりを持つことも、古澤さんの実力のように思えます。今回の肖像写真は、スマートフォンで撮っても再現できないものであり、道具の持つ力を引き出した結果、できた作品だからです。

何考えているかわからない。そこが可愛い

卒業制作展での展示の様子

「中学生や高校生のとき、新しいレンズを買って、真っ先に撮影に行くのは動物園でした」と古澤さん。大学に入ってからも動物を被写体に制作を重ねてきました。しかし、古澤さんは、「動物のことは、そんなに詳しくないです」と言います。動物博士になりたいわけではなく、あくまで被写体として動物に魅せられているのです。「何考えているかわからないんだけど、逆にそこが可愛いと思ってしまうんですよね」と、カメラについて語るときと同じように笑顔で話してくれます。

「今回の作品は楽でしたね」と古澤さん。今までの作品は心動かされたものを撮影し、後からテーマを考えるスタイル。どの写真がいいのか、どんなテーマにしようかと悩んできました。しかし、今回は「動物を左斜めから肖像写真のように撮影する」というテーマがあるおかげで、それを実現することに集中できました。夏を中心に、動物園に行き、撮影をし、帰ってきて写真を選定、必要な場合は再撮影にでかける作業を繰り返しました。同じ動物を何度も撮影し、ベストショットを選びました。

「動物を左斜めから肖像写真のように撮影する」というテーマは動物たちに新たな魅力を与え、「肖像写真だからかいろんな人格を持った顔に見えてくるから不思議」という感想をもらいました。

一番好きな動物はやぎ。「横長な瞳孔と柔らかい唇が可愛いんですよ」

道具としてのカメラ、レンズ、被写体としての動物、その両方に愛着を持って撮影する古澤さん。大学を卒業した現在は、「若いときにできることを」と飛び込んだイベント関係の仕事で活躍しています。やはり動物と同じように撮影を通じて夢中になった世界。休みの日には動物園に行って、動物の撮影も続けています。好きなものに真っ直ぐな姿が素敵です。

写真学科

実践的な教育が写真に関わる全ての仕事で通用する真のプロを育てる。

1923年創立の「小西写真専門学校」をルーツとする本学科は、日本で最も長い歴史と伝統を誇る写真教育機関です。90年以上の歴史の中で培われた教育ノウハウは、他校の追随を許しません。写真技術だけでなく芸術分野の専門科目を学ぶことで総合力を習得。写真に関わるあらゆる領域で活躍できる真のプロフェッショナルを育てます。