足跡

2019.7.16

東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展2019レポート(デザイン学科)

開催日:2019年 2月22日(金)~24日(日)
会場:東京工芸大学中野キャンパス

「メディア芸術の拠点」として、芸術学部の全学年が2019年4月から中野キャンパスへ集結しました。学生達が積み重ねた知識や技術を遺憾無く発揮する、芸術学部卒業・大学院修了制作展(以下「卒展」)がその中野キャンパスにて2月に開催された際の模様をレポートします。

当日は多くの学生・その家族・卒業生などで大いに賑わいました。最終日には卒業制作を行なった学生ほぼ全員が集まり、仲間と楽しそうに話をしたり、来場者の方へ作品について生き生きと説明をしたりしていました。その表情には、作りきったという達成感と、無事完成させることができた安堵の色も見ることができ、早春の穏やかな空気とあいまってとても晴れやかなものでした。

今回は、4つの専門領域で構成されているデザイン学科学生の作品の一部をご紹介します。

デザイン学科(グラフィックデザイン領域)

3号館1・2階にて展示された作品たちは、平面を超えて立体物も多数。実用性を兼ね備えた作品も数多く、展示会場はさながらアートな雑貨店のよう。そのクリエイティブに興味津々の来場者が制作した学生に話しかけたりするなど、コミュニケーションが活発な明るく華やかな雰囲気でした。

美しい日本語を口に出さずに差し出す奥ゆかしさ

ことをり

デザイン学科(グラフィックデザイン領域)森愛美さん

若者の謙譲語離れが進んでいるという話を聞き、「もったいない」と感じました。そこで、目上の人だけでなく身近な人にプレゼントする時にも、謙譲語の持つ控えめで素敵な気持ちを表現できるものがあれば…と考え、謙譲語の文字をデザインしたギフトツールを作りました。アクリルのボックスはレーザーで切っていますが、紙はすべて手で切り抜いています。読めすぎないデザイン性や文字をすべて1枚に繋げてレースのように見せること、手作り感が出ないようにすることなど苦労の連続でしたが、それを知らない来場者が直感的に「きれい」「可愛い」と言ってくれたことが素直に嬉しかったです。
卒業後は広告制作会社にデザイナーとして就職します。今までは自分で考え自分のために制作をしてきましたが、これからはクライアントやその先にいるお客様に寄り添い、人の考えを形にできることを今からとても楽しみにしています。また、イラストなどがあまり得意ではないので、これからはそのような苦手意識も克服できればいいなと思います。

デザイン学科(イラストレーション領域)

3号館1階に設置された無数のパネル、そこに展示された作品たちは様々な画材を用いて制作された熱の込もったものばかりで、来場者をアートの迷路に引き込むような力に満ちていました。作品1つひとつに足を留め、食い入るように見つめる来場者がとても多かったのが印象的でした。

感じた瞬間・湧いた言葉を描き出す瑞々しい青色

青色に愉快

デザイン学科(イラストレーション領域)出川慶亮さん

日々の生活や将来に対して漠然とした不安、世の中に対する不満な気持ちなど衝動性を込めた作品です。制作は焦らずじっくりマイペースに取り組み一枚を描くのには長くても1ヶ月、短いと2日で出来上がったものもあります。今後、日々模索中ではありますがしっくりくる着地点が見つかればいいなと考えています。

デザイン学科(映像情報デザイン領域)

3号館3F、明るい中庭を囲むように展示された会場には、見るだけでなく体験型の作品も展示され、子供連れの家族が多く来場していました。見たことのない新しい体験に目を輝かせ、夢中になって遊ぶ子供たちの姿がとても微笑ましく、それを眺める学生もとても嬉しそうにしていました。

有益性・社会的価値にこだわった、みんなで使える作品づくり

Zooom !

デザイン学科(映像情報デザイン領域)根本壮馬さん

「人の物の触り方」の分析から「スポンジで液体を動かせるおもしろさ」に着目し、絵の具を含ませたスポンジを動かすことで絵の具の密度や塗り広げられる面積を変えられる現象を動画の再生時間に置き換えてみたらおもしろいのではないかと考えました。実際に動かすのはスマートフォンですが、スポンジの楽しさや魅力を掘り下げるなど、実際にどんな映像を動かすか、その有益性・社会的価値に昇華させることにとても時間がかかりました。動画をゆっくり再生することで動物の動きをじっくり観察できたり、早く動かすことでコミカルに見えたりします。来場者からは「本当にこれがあったらいいのに」と言ってもらえました。
卒業後はナビゲーションアプリを作るIT企業でUIデザイナーとして働きます。自分の制作に満足できておらず、もっとできたはずと思っているので、いつかもう一度形にしたいです。そしてUIデザインは誰かのために作るものですが、これからはもっと絵を描くなど、自分のための創作もしていきたいと考えています。

デザイン学科(空間プロダクトデザイン領域)

新たな視点で提案する生活に寄り添うプロダクト。3号館2階と地下1階にて

展示が行われました。照明をはじめ家具やおもちゃなどの楽しい立体物で溢れるワクワクする空間が広がっていました。実際に使う場面を想像させる作品たちに、来場者は興味深げに作品をいろいろな角度から眺めたり覗き込んだりしていました。

温かみのある優しいデザインに潜む二面性

two-faced

デザイン学科(空間プロダクトデザイン領域)深澤麻那さん

4年間住居空間のデザインを軸に制作をしてきたので、その集大成として(略)をコンセプトに照明を制作しました。当初はペンダントライトにする予定でしたが、技術的な問題などもあり、外部の方とも相談した結果、スタンドライトに落ち着きました。枠組みはスチールを、シェードにはボール紙とコットンリネンを使ってあります。直径が800mmもあるため枠組みは外注したのですが、自分の作りたいものをどうしたら形になるのか、外注するにも依頼先が分からないなど、経験や知識不足からの苦労が多かったです。先生に助けてもらいながら完成させることができました。

デザイン学科

幅広い学びから自分の専門を極め、一生走り続けられるデザイナーになる。

建物などの生活空間や工業製品、ポスター、雑誌、Webなど、私たちの暮らしは様々なデザインで彩られています。幅広い領域の中から自分の可能性に気づくために、本学科では1・2年次に一通りのジャンルを学び、その上で自分の専門に進めるカリキュラムを用意。現役クリエイターとして実績のある教員が、生涯にわたり活躍できる実践力を鍛えます。