研究

2020.7.17

身体を動かした創作活動で自己を表現する

芸術学部 映像学科 
大津 はつね 教授 Hatsune Otsu
身体表現領域 身体映像研究室

教員プロフィール

1956年、東京都生まれ。文化学院大学建築学科卒業。映像作家。70年代後半より、暗黒舞踏、パフォーマンスを行う。1981年に風間 正と映像作家ユニット"Visual Brains"を結成。以降マルチメディアを駆使した作品を発表する一方、様々な映像制作を手掛ける。また、現代メディア社会を風刺した作品は世界各国で上映されている。近年は戦争体験者の言葉を綴った「記憶のマチエール」シリーズを制作。

舞台芸術を創作し、公開しています。

2019年度重点教育助成事業参加作品「Good night evergreen」(色の記憶vol.3)

映像に限らず、すべての創作活動は自己を開放することです。それを精一杯できるのが大学時代だと思います。映像学科では撮影する側の学びだけではなく、撮影される側の学びも不可欠と考え、2014年から身体表現領域をスタートさせました。具体的には1年次に選択科目で「身体基礎」と「映像基礎」を学んだ学生が、2年次に「身体系」と「映像系」を選択し、3年次に希望する研究室に所属します。私の「身体映像研究室」では主に演劇の創作や舞踊、パフォーマンスなどの創作と実習を行っています。自らの想いを表現するシナリオを書き、自ら演じ、人を演じさせる演出をし、物語空間を作り上げていくのです。出来上がった作品は公開しています。作品を制作するのに、様々なアイデアやイメージを頭の中で思考するだけではなく、実際に手を動かすこと、つまり身体を動かして行動を伴った考えを行うことが大切であると考えています。そうすることで、創作行為は試行錯誤と実験の連続であることを理解するようになるのです。

人生は演劇と同じ。シナリオを書き、演じ、人を動かすこと

身体映像研究室

この研究室に入ってくる学生の動機は様々です。入学当初から役者や演出家になることを希望している人もいれば、映像を制作する上で身体表現を学ぶことが大切だと考えて入ってくる人もいます。ですから、卒業後の進路も様々で、役者としてデビューし、NHKのドラマなどに出演して活躍している人もいれば、放送技術者やプロダクションなどの映像制作の現場で活躍している人もいます。また、一般の企業に就職した人もいます。ある学生は「僕はこの研究室で自らシナリオを書き、演じ、人を動かすことの大切さと手法を学びました。それを企業の中でやってみせます」と言っていました。大切なのはそこです。人生は演劇と同じです。自らの書いたシナリオを演じ、人を動かしていくことです。ですから、この研究室は「人間養成所」だと思っています。

アットホームな環境でコミュニケーション能力を磨く

2019年度重点教育助成事業参加作品「Good night evergreen」(色の記憶vol.3)

作品を作り上げていくということは、自分の想いを伝え、相手が共感してくれることが大切です。しかし、人の想いはそれぞれです。意見がぶつかり合うこともあります。それでも意見を交わし合い、お互いの意見の違いを乗り越えて、共に共感できる舞台が出来上がった時に最高の喜びを感じることができるのです。こうした活動を繰り返していくことによってコミュニケーション能力はどんどんと磨かれていきます。学生同士の心と心が通じ合い、教員と学生の心が通じ合ったアットホームな雰囲気の中で創作活動を行っています。また、この大学は学科の中だけでなく、他学科の人たちとの距離が近いのも特徴です。私の研究室でも様々な表現を行う上で、デザイン学科やインタラクティブメディア学科の学生たちに協力してもらって作品を製作することがあります。それが出来るのが東京工芸大学の良さだと思います。

※所属・職名等は取材時のものです。

映像学科

あらゆる映像領域をゼロから広く学ぶ。専門性を磨き、業界をリードする人材になる。

今、身の回りには映像があふれており、感動を与えられたり、感性を刺激されたりしています。その中で「映像で何かを表現したい」「映像の世界で活躍したい」と、映像に興味を持った人がゼロから学び、真の映像人になれる点が本学科の特徴です。映像を多角的に学び、都内屈指の最新設備・機器で映像を制作し、業界をリードできる人材を育てます。