研究

2023.2.21

自分にしかできない表現法を追及することが大切

芸術学部 アニメーション学科
ハケン研究室 キム ハケン 助教

教員プロフィール

きむ・はけん
東京工芸大学芸術学部アニメーション学科卒業、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。ショートアニメーション作家としてアヌシーやザグレブなどの国際アニメーション映像祭に作品がノミネートするなど、世界のアニメーション映画祭を中心に活動中。

自分にしかできない表現法を求めて

 韓国の大学では彫刻を専攻していましたが、絵を描くことが好きで、その延長線上でフラッシュアニメーションを制作するようになり、独学でアニメーションの勉強を始めました。日本で学ぶきっかけとなったのは、※『カウボーイビバップ』というアニメーションに影響を受けたことです。この作品に出合い、子どもだけではなく大人も楽しめる作品を作りたいと思うようになりました。日本の大学で学んでいく中でショートアニメーションの世界に触れたことが、現在の作風に繋がっています。

 制作は、企画、脚本からすべて基本的に一人で行います。アニメーション制作は企画、演出、作画、背景制作や仕上げなど工程が多いので、自分の中で仕事を切り替えながら進めていきます。
ショートアニメーションを制作するときは、自分しかできないような※クセを出して他の人がやらないような表現、考え方を作品に反映させるようにしています。

※『カウボーイビバップ』
テレビ東京系などで1998年4月~放送されていた、サンライズ制作の日本のSFアニメ作品。
※クセ
特徴や個性ではなく、育った環境や刻まれているものを含めた自分にしか出せない表現。

制作は、アナログならではの味を活かした手描きが中心

 私の制作技法は手描きが中心です。もちろんデジタルでの制作はメリットも多いのですが、最近は手描きの方が描いた時の手の感触や、紙の滲みなど情報が多く、いままで粗や不便だと感じていた部分が作品を豊かにするために必要な工程であることに気が付きました。

 先日開催された展示では、ショートアニメーションの制作過程で、こぼれおちる原石を磨くというような感覚で、絵本の描き下しに挑戦しました。しばらくは手描きを中心に制作しながら、人形やセットを使った※ストップモーションなど、自分の中ではまだ未挑戦だった表現にもチャレンジしていきたいです。
 作品により内容は異なりますが、3分の動画で描く絵は約700枚。多い時は約1000枚描くこともあります。

※ストップモーションアニメ
静止している物体を少しずつ動かしてコマ撮り撮影し、アニメーションにするアニメーション制作技法です。

自分に合った表現法を見つけてほしい

 研究室では、アニメーション技法ワークショップと名付け、例えば切り紙や砂でアニメーションを制作する専門家の先生を外部から呼び、さまざまな技法を学びます。近年、学生たちが表現で使う技法は圧倒的にデジタル作画が多いのですが、アニメーションは技法によって表現の幅が広がるということをワークショップで体験して身に付けてもらいます。そうすることで、制作をするうえで新しい発見や自分と相性が良い技法が見つかるきっかけにも繋がります。視野を広げ、自分が表現したいことに合う技法を見つけ、制作して欲しいと思います。

 学生には、今まで影響を受けた作品をリストアップしてもらい、自分の表現の中で意識的、無意識的に受け取っているものを認識してもらいます。影響を受けたものに対して、似せないようにするなど変に創作意欲を拘束するのではなく、それを踏まえたうえで、自分のクセをどのように出していくのかを考えることが大切だと思います。そして、思い切り表現して欲しいです。

※所属・職名等は取材時のものです。

アニメーション学科

日本の4年制大学で初めて設置されたアニメーションを多角的に学べる学科。

日本アニメーションの世界への拡大、そして進化をいち早く察知し、他大学に先駆けて誕生したのが本学のアニメーション学科です。コンテンツ産業として、まだまだ拡大の可能性が期待されているアニメーション界を担う、コンテンツクリエイターの育成を行っています。アニメーターのみならず、幅広い産業界に活躍の場を広げていることも特徴です。