足跡
2024.3.19
東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展2024~デザイン学科①~
「東京工芸大学芸術学部卒業・大学院修了制作展」では、芸術学部(写真、映像、デザイン、インタラクティブメディア、アニメーション、ゲーム、マンガの7学科)と芸術学研究科の学生が各々の個性的な発想を元に、精魂込めて作り上げたメディア芸術作品群が展示されます。未来のメディアアーティストたちの作品をピックアップしてご紹介します。
History repeats itself.
佐藤 舞香
海外旅行で得た経験から、現代の社会問題をテーマにポスターを制作した。
不条理文学から引用した文章を、ニスで印刷している。光に反射したニスは、涙や滲み出る汗のように見えてくる。
また、ニスの上からシルクスクリーンで、テーマを連想する図形を印刷した。ニスにインクを重ねることで生じる凹凸によって、抑圧されている様子を想像する。
(左から順に、「戦争」「天災」「差別」「疫病」「貧困」)
KIRIGAMINE MANDALA
首藤 琳華
霧ヶ峰の絶滅危惧72種の花たちは、私はここにいると主張するように力強く咲く。
その生きる力を尊び描き、自然保護活動という想定で、作品集と2種の商品をデザインしました。
このテーマに取り組もうと思ったきっかけは、2023年5月4日に霧ヶ峰高原で起きた山火事です。原因不明の火災により、黒く焼け焦げた草原の無惨な姿に心が痛みました。
しかしその一ヵ月後には美しい風景が蘇り、死と、そして生への循環、植物の力強さと生命力に胸をうたれました。
霧ヶ峰高原の歴史や生態系などを調べていく中で、豊かな植生に着目し、72種の植物が絶滅危惧に指定されていることを知りました。
自然環境の変化、人の営みなど多様な要因で植物が絶滅危惧となっています。しかし本来は強くたくましい。
制作にあたり、「私はここにいる」と主張するように花たちを力強く描くことにしました。
描いたイラストは作品集として販売。線香には絶滅危惧種の儚さを重ねながらも、強い祈りの気持ちをこめました。もうひとつの商品は、植物たちの力強さ・生命力へのリスペクトから、人を勇気づける言葉が書かれたアファメーションカードを制作しました。
nobinobi things
デザイン学科 グラフィックデザイン領域
城石 友介
モノにはそれぞれ使い道や役割があるが、もっと自由でもいい。変な形でもいいし、全く役に立たなくてもいい。そんなのびのびした考え方を、のびのびしたモノで表現した作品です。サイコロやコップなどの身近にあるモノを部分的に変形させることで、見たことがあるようで見たことがないビジュアル表現を目指しました。意味のあるものに価値が置かれ、効率化が進む現代において、私はのびのびとした気持ちを持つことがなによりも大切だと思い、作品にもその想いを込めています。
MY OUTER SPACE
三枝 志帆
未だ見ぬワクワクするものが自分の頭の中の宇宙から生まれていく様子とそのアイデアに合わせて柔軟にかたちを変えながら表現していきたいという思いを、裁縫をする時の木枠と紺色の生地を宇宙空間に重ねて、その宇宙に浮かぶかたちを変えていく星(表現者)とロケット(アイデア)が飛び出していく様子として描きました。
「メラメラ」「アカチャン」
杉山 菜緒
未だ見ぬワクワクするものが自分の頭の中の宇宙から生まれていく様子とそのアイデアに合わせて柔軟にかたちを変えながら表現していきたいという思いを、裁縫をする時の木枠と紺色の生地を宇宙空間に重ねて、その宇宙に浮かぶかたちを変えていく星(表現者)とロケット(アイデア)が飛び出していく様子として描きました。
繚乱
デザイン学科 イラストレーション領域
宝積 一蔵
この作品は、冬の園芸店が持つ独特の美しさを表現したいと思い制作しました。
建物に囲まれているところや隅々まで管理が行き届いているところなど、自然に咲く花や草木などとは違った園芸店ならでは良さがあると感じ、それに加えて自分なりの空気を表現するため色や構図、フォルムなどを工夫しています。
また、どのような人々がそこに訪れるのかという部分にも意識を向け、人物の関係性や会話の内容など絵ではわからないような部分まで想像が膨らむ、小説でいう「行間」のようなものを表現したいと考えています。
※所属・職名等は取材時のものです。
幅広い学びから自分の専門を極め、一生走り続けられるデザイナーになる。
建物などの生活空間や工業製品、ポスター、雑誌、Webなど、私たちの暮らしは様々なデザインで彩られています。幅広い領域の中から自分の可能性に気づくために、本学科では1・2年次に一通りのジャンルを学び、その上で自分の専門に進めるカリキュラムを用意。現役クリエイターとして実績のある教員が、生涯にわたり活躍できる実践力を鍛えます。