足跡

2017.5.22

「Life is Game」ゲームを着た人が渋谷に出現

2017年卒業制作展スペシャルインタビュー
ゲーム学科岩谷研究室:小滝 光さん

2017年の「芸術学部卒業・大学院修了制作展」で印象に残った作品の制作者へのインタビュー。
ゲーム学科の小滝光さんは、岩谷研究室で2013年に制作されて以来、リニューアルを重ねてきた作品「ゲーミング・スーツ」(ウェアラブル・ゲーム)の最新版「Life is Game」の制作チームのリーダーを務めました。小滝さんに「ゲーミング・スーツ」にかける思いを伺いました。

憧れのゲーミング・スーツにかける情熱

ゲームの画面をスーツのように着込み、ぴかぴかと光を放つ。
「なんじゃこりゃ!これがゲーム?」
衝撃を受ました。小滝光さんが1年生のときの卒業制作展での事でした。

ゲーミング・スーツの1号機。2013年制作。

小滝さんが見たのはパックマンの生みの親として有名な岩谷徹教授の研究室で制作されたゲーミング・スーツ1号機です。その作品は上半身にLEDパネルが取り付けられ、腕を振る事でチャージしたエネルギーを放出して敵を倒すといった内容でした。

研究室ではその後、「両足用のLEDパネルを作って全身にLEDパネルを装着できるようにする」「ゲーミング・スーツを2体に増やして二人用ゲームにする」など、年々ゲーミング・スーツのアップグレードを続けてきました。

しかし、それを見てきた小滝さんは残念に思っていた事がありました。ゲーミング・スーツがコードでパソコンにつながれていた事です。「名前にスーツってついているのに着て出歩けないなんて…これを着て街を歩きまわれたら楽しいのに…」そんな思いから今回の作品のコンセプトが決まりました。

照れながらゲーミング・スーツを着ている姿を見ると、一見シャイな性格にも見える小滝さん。しかし、ゲーミング・スーツにかける情熱は人一倍です。3年生になったときには迷わず岩谷教授の研究室に入り、先輩たちのゲーミング・スーツの制作にスタッフとして参加しました。今回の卒業制作も先生から新しいゲームを作る事を提案されましたが、ゲーミング・スーツ作品「Life is Game」の開発を決意しました。

「Life is Game」はゲームの枠を超えて

個人で作品をつくる人や論文を書く人もいる中、「Life is Game」はグループで制作しました。ゲーム学科では企画、プログラミング、デザインの3分野にわかれています。今回の制作では、企画分野から2名、プログラミングから1名、デザインから1名の学生たちが参加しました。彼らは皆、ゲーミング・スーツにはもっと可能性があるはずだ、ゲーミング・スーツをもっと進化させたいという気持ちで参加を決めたと言います。

小滝さんたちチームが作ったゲーミング・スーツは腕を動かす事でキャラクターを左右に動かし、自分の足元から発せられる敵からの攻撃をかわすゲームを自分の全身に取り付けられたモニターを見ながらひとりで遊ぶ事ができます。

また、今までパソコンにコードでつないで動かしていたゲーミング・スーツを、手元のスマートフォンで操作できるようプログラミングする事で動き回れるようにしました。しかし、その事でトラブルも発生しました。以前よりも歩きまわれるようになり、酷使したためゲーミング・スーツが度々故障するようになってしまったのです。修理してくれる業者との交渉や持ち込みなどは、リーダーである小滝さんの仕事です。制作が止まってしまう心配や計画の練り直しなどリーダーとしての決断力も求められる場面を乗り越え制作を続けました。

自由に歩きまわれるようになったゲーミング・スーツでは、ゲームという枠を超えて、人を楽しませるものを目指しました。メンバーのひとりが、サークル活動で、プロモーションビデオの撮影経験があったことから、「もしゲーミング・スーツを着た人が日常の中にいたら…」というテーマで、ゲーミング・スーツを着て渋谷の街を歩き、映像作品も制作。また、握手に反応して、握手した腕から徐々に光が広がって、最後には全体が光る機能をつける事で、ゲームの枠を越え、アート作品としても楽しめるものにしました。

なによりも面白いものを

小滝さんたちが「Life is Game」でゲームの枠を超えて楽しめるものを作ったのは岩谷教授の言葉が頭にあったからではないでしょうか?

「大学入学当時は、その時代の流行りもあったのですが、ハリウッド映画さながらの派手な演出のゲームを作りたいと夢見ていました。でも、岩谷先生の授業をうけて、それはゲームにとって本質的な事ではないと思い知らされました。一年生の時の「ゲーム概論」という授業です。先生の言葉で一番印象的な言葉は“Fun First”。何よりもまず面白いかどうかが大切だという事です。岩谷先生は『ヒトの心を理解しなさい』という事も常々言われ、ゲームはひとりよがりではないサービス業である事をいつも意識させられました」

“Fun First”…何よりもまず面白いか。その言葉もまたゲームの枠を超えてクリエイターとしての大切な姿勢を学ばせてくれます。

Life is Game 小滝光・田所由衣・丹野瞬・李俊一

学科名
ゲーム学科
学年
4年生
所属研究室
岩谷研究室
制作年度
2016年
指導教員
岩谷徹
作品ジャンル
デジタルアート

デジタルゲームにおける「プレイヤ・ディスプレイ・コントローラ」の三要素を三位一体にした「ゲーミング・スーツ」を着た人が日常生活にいたら…。
実演ゲーム・学内歩行アート・映像作品で見せます。

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