仕事

2017.5.22

大ヒットアニメ「おそ松さん」のOP曲を制作!黒沢ダイスケ先生

2017年芸術学部スプリングスクール
【インタラクティブメディア学科】レポート

わたしたちがよく聞く音楽。例えば、街中で流れる好きなアーティストの最新曲、アニメの主題歌やゲーム音楽。これらはパソコンを使って作られます。このようにパソコンで音楽を制作することをDTMと呼んでいます。今回は、DTMによる音楽制作の世界で活躍している黒沢ダイスケ先生にお話を伺いました。

DTMによる音楽制作の世界で活躍

黒沢先生は、東京工芸大学のインタラクティブメディア学科(当時はメディアアート学科)の第一期生です。もともとギターが得意であったことから、DTMによる音楽制作の世界に身を投じるように。大学卒業後は、10年以上、大手ゲーム会社の専属作曲家として、数多くの音楽ゲームを生み出す実績をあげてこられました。現在は独立し、「株式会社IZENE サウンド制作スタジオINSPION」に加わり、ゲーム音楽を中心に楽曲制作や演奏活動をしたり、本学科のサウンド関連科目の非常勤講師として学生指導をしたりと、多忙な日々を送っているそうです。

そんな黒沢先生の代表作の1つに、2015年に放送されたTVアニメ「おそ松さん」の第一期オープニングテーマ「はなまるぴっぴはよいこだけ」(96(クロ)名義で作曲)があります。このアニメは、深夜1時放送と夜遅い時間帯にも関わらず、発売されたDVDは発売初週で8万枚を売り上げ、800種類に及ぶグッズ販売も好評を得ています。総額70億円もの市場規模ではないかとも言われているほどだそうです。

そんな大ヒットアニメの主題歌は、どのようにして生まれたのでしょうか。普段の音楽作りや心構えなどを黒沢先生に教えて頂きました。

どんな風に音楽を作っているの?

「まずは、デモ音源(サンプル曲)を作るために、楽曲のテーマが与えられます。現代っぽい感じ~とか、女性受けしそうな感じで~など、かなりザックリしていることが多いです(笑)」と、黒沢先生は言います。

その後、様々な参考音源を探しiTunesに様々なジャンルの曲を追加していきます。黒沢先生のパソコンの中には、なんと3000以上の曲が入っているのだとか!

さらに黒沢先生は、「参考音源を集めたら、今度はメロディー作りです。メロディーはサビから作ります。聞かせたいところから作るとやりやすいですね。メロディーが決まれば、ドラムやギターなど各楽器の音を入れていきます。これでひとまず、デモ音源は完成です」と話します。

メロディー決定後に各楽器の音を入れるのは、もちろんパソコンです。そのため、ドラムが叩けなくても、ギターやピアノが上手に弾けなくても問題なく、一人で曲が作れるのがDTMの良い所だそうです。

デモ音源が採用された後は、必要に応じて作詞を依頼したり、音のバランスを整えたりして、ようやく曲が完成します。それぞれの楽器を一つ一つパソコンで打ち込んだり、リズムや音量を微調整したり。普段何気なく街中で聞いている曲は華やかに聞こえますが、作られるまでは意外と地道な作業の繰り返しです。

ヒット曲を作るには?

大人気アニメを支えるテーマ曲は何かコツがあるのでしょうか?
「デモ音源を作るときは、ザックリ作ることも多いんです。でも、おそ松さんのときはしっかりとデモ音源を作り込みました」と、黒沢先生は話します。

黒沢先生にとっても、おそ松さんは初めてのアニメ楽曲制作だったとのこと。そのため「絶対に採用されたい!」と強く思い、仮の歌を入れたり、様々な楽器の音のバランスを整えたりと、ほとんど完成形で提出したのだそうです。

さらに、黒沢先生は「1分程度の手軽に聞ける長さにしたり、聞きやすい音量にしたり、よく使われるファイル形式で渡したりと、聞く側のことを常に考えます」と続けます。曲が採用されるかどうかは、相手の印象次第。そのため、ただ曲を提出するだけではなく、聞く側のことを常に優先に考えることが大切なのだそうです。

幅広くアートに取り組もう!

そんな黒沢先生は、入学当初はコンピュータグラフィックス(CG)の勉強がしたかったそうです。当時CGを4年間で学べる大学は少なく、東京工芸大学は新しいジャンルを学べる大学として高校生の頃の黒沢先生の目には魅力的に映ったのでしょう。しかし、いざ入学してみるとCGの道を志す学生は自分よりはるかに研究熱心な人ばかりで「何か違うな…」と感じたのだとか。そこで、黒沢先生は大学入学前から得意だったギターを活かせる音楽の道へと途中変更したのだそうです。

「入学してから、やりたい事が途中で変わっても遅くありません。変わったときのために幅広くアートに取り組んでおくと良いと思います。」と話す黒沢先生。

インタラクティブメディア学科はDTMやCGだけでなく、インタラクティブアートなど様々なジャンルを学べます。幅広いアートに触れることで、黒沢先生のように新しい道が開けてくるかもしれません。