体験

2017.7.20

《オープンキャンパス》広川泰士先生トークショー&大判カメラ撮影体験

オープンキャンパスレポート
写真学科

2017年6月11日(日)、中野キャンパスで「芸術学部オープンキャンパス」が開催されました。
写真学科では、数々の写真賞を受賞し、常に第一線で活躍し続ける写真家、広川泰士先生のトークショーや、プロ用のカメラを使った参加型の撮影体験など、様々なイベントが用意されました。今回は、大きく引き伸ばしても美しく、描写力が素晴らしい8インチ×10インチ(約20cm×25cm)のフィルムが使用できる"8×10=エイトバイテン"と呼ばれる大判カメラについての話や体験にフォーカスし、当日の様子をお届けします!

広川泰士先生が伝える、大型カメラで撮る写真のすごさとは?

広川泰士先生のトークショーは、写真学科が入る中野キャンパス1号館2階の教室で開かれました。

現在は大学院で指導されている広川先生は、写真以外にもCMや映画の撮影監督など様々なジャンルにおいて第一線で活躍されています。一方で、国内の原子力発電所(当時53基)をすべてまわり、現代日本の一風景として記録した写真集『STILL CRAZY』(光琳社)や、一枚のネガに昼夜の時を重ねた世界各地の自然を12年間かけて撮影してまわった『TIMESCAPES-無限旋律-』(青木書店)など、手間と時間のかかる壮大なスケールの作品集を数多く発表されています。

巨匠ながら、参加者たちに次々と話しかけ、親しみやすい人柄です。 カメラと言えば、今はデジタルが当たり前の時代。けれど、黒板の前に用意された大判カメラを前に、広川先生はこう語ります。

「フィルムを学ぶことで、新しい表現が生まれてくると思うんですね。一番基礎の部分は知っておいたほうがいい。この大判カメラは一見古臭いカメラですけれども、現役なんですよ」

「TIMESCAPES-無限旋律-」( http://hirokawa810.com/taishi-hirokawaより )

トークショーの中では、実際に、広川先生が8×10インチの大判カメラを使って撮影した『TIMESCAPES-無限旋律-』シリーズの写真も披露されました。

「昼間と夜の二重露光(1枚のフィルムに2度シャッターを切る)で撮影しています。カメラのシャッターを押して、フィルムを入れっぱなしで、最低でも24時間シャッターをあけておく。月が出ると空が明るくなってしまうので、新月で昼夜雲のない中でしか撮れないです。夜の長時間露光と思われてしまうんですが、夜だけだと、岩のディテールが写らないんですね。だから、昼にちょっとだけ光を当ててあげて、夜は4、5時間にしています」

「TIMESCAPES-無限旋律-」( http://hirokawa810.com/taishi-hirokawaより )

「なぜね、こういうことをやろうかと思ったかと言うと、岩の造形に魅了されたんです。人間技では追いつかない、自然や時間が造った造形。人間が持っている時間は80年〜90年。1日24時間、1年で1歳年をとるとか、そういうことではない時間が自然界には流れています。さらに言えば、星の光も何千光年、何万光年先から地球に届きます。1枚の写真の中に、何十億年かけて形造られ、存在している岩山と何十億光年の宇宙の果てから地球に届く星の光を同時にそれを撮れないかな、と」

そう語って紹介された写真には、岩肌がくっきりと見え、8×10の高画質ぶり、描写力に圧倒されます。

参加者のみなさんも写真に見入ったまま、40分間のトークショーは終了しました。

撮影から現像、プリントまで「8×10大判カメラ体験」

14時半からは、同じく1号館2階の教室で「8×10大判カメラ体験」のワークショップが、先着15名で行われました。

最初に、写真学科助手の高島圭史先生が、8×10についての簡単な構造について簡単な説明があり、習うより慣れようということで、あっという間に教室の外へ。

先生と在学生がサポート役となり、チームごとに分かれ、撮影スポットを決めて撮影します。カメラが大きいので、力のある男性でないと、持ち運びがなかなか重くて大変そうです。

参加者のひとりは、ガラス張りの校舎に狙いをつけました。

この日は、印画紙をフィルムの代わりに使用。なんと約20cm×25cmの巨大サイズです。

8×10の大判カメラは、完全マニュアルです。

外からの光を遮り、ピントグラスでピントを合わせる時にかぶり布を被って、撮影に挑みます。先生に微調整を手伝ってもらいつつ、シャッターを切ります。

撮影が終わると、続いてスタジオ、デジタル写真演習室、カメラ等の機材の貸し出しなどができる施設、写真制作センター内にある暗室へ。水道の右奥が暗室で、参加者たちはその中へ。

中へ入ると、セーフライトのオレンジ色の薄暗い明かりの中、どんな風に映っているかドキドキしながら撮影した印画紙を現像液、停止液、定着液の順に浸していきます。数十秒ごとに浸していくと、しだいに撮影した風景がくっきり見えてきます。(※暗室の中は真っ暗なので撮影ができませんでした)

最後は、水で洗いました。ちゃんと撮れていたか心配だった写真が、かなりはっきりと見えてきました。

初めての参加者は、水で洗うんだ!という驚きとともに、写真がどんどんはっきりとみえてくる様子に感動していました。

デジタルカメラ全盛期の今、なかなか触れることないアナログカメラ。広川先生から、それによって表現される壮大な世界をみせていただいたり、普段使わないカメラや暗室の体験によって写真表現の幅が広がるのを感じました。