研究

2020.1.14

見えない光を自在に操り、世界初の光学顕微鏡を開発

工学部 工学科 総合工学系 電気電子コース
豊田 光紀 准教授 Mitsunori Toyoda
光学設計研究室

教員プロフィール

1975年、東京都生まれ。東北大学大学院博士前期課程修了後、(株)ニコン入社。東北大学多元物質科学研究所、東北大学助教を経て、2018年に本学に着任。 光学の専門家として極紫外・軟X線顕微鏡の高分解能化や実用化の研究に従事。休日は家族でスキーやテニス、銭湯を楽しむ。ゆったりと温泉に入っているときに、ブレークスルーにつながる良いアイディアが浮かぶと言う。

世の中に無いものを作る。世界初への挑戦

レンズは写真機やビデオカメラだけでなく、CDプレーヤーの信号を読み取るピックアップレンズ、コピー機、天気予報の衛星などに使われています。そして半導体の製造でもレンズ技術は活用されています。レンズは非常に古いものでありながら現代社会では無くてはならない技術になっています。光学設計研究室では光学理論を基盤として、可視・紫外線よりも波長が短く目に見えない光「極紫外線(EUV)」や「軟X線」を使った新しい顕微鏡を光学設計理論と実装技術の両面から研究しています。

今まで世の中に無かった新しい光学顕微鏡。それが「極紫外線(EUV)顕微鏡」です。今まで誰も成しえなかった新技術を自分たちの力で成功させる。それは雪の原を進んでいくようなものです。様々な難問を一つずつ解決して世界初に挑戦する。それは困難な道ですが、産業発展の礎となる研究で、心が躍る研究です。

見えない光でナノを視る -「EUV」「軟X線」顕微鏡を開発―

私たちが開発している新しい光学顕微鏡は10ナノメートル(髪の毛直径の1/5000)の細かい構造を、元素固有の色で視ることができます。「極紫外線(EUV)」や「軟X線」の光はガラスで吸収されるためレンズを利用できません。これらの光を自在に操るために、数百層に及ぶ「多層膜ミラー」を利用し、ボケなくシャープに像を拡大する対物ミラーを独自に考案しました。さらに、この新発明のミラー光学系を試作し、世界最高の空間分解能(30nm)を達成し、大きな反響を得ました。

「EUV顕微鏡」はこれからの産業に革命をもたらす可能性を秘めています。例えば、壊れないプラスティックの開発(現在、プラスティックで作った車の開発は国家プロジェクトとして進められている)。そしてスマートフォンなどの電子機器の開発に無くてはならない技術になっていきます。私たちは生まれたばかりの新しい顕微鏡を様々な産業で使えるレベルまで大事に育てていきたいと考えています。

ラボスケールEUV顕微鏡の開発

時代が求める光学技術者

写真をルーツにする東京工芸大学では「光学設計」に力を入れており、「光学設計研究室」は大学創設時から続く歴史ある研究室です。光学の理論に精通したレンズデザイナーを育成することが大学の大きな使命となっています。光学技術者は、デジタルカメラなどの光学産業にとどまらず、AIの応用が進む自動車やドローンの自動運転における「目」をうみだすエキスパートとして広く産業界から求められています。
ところが、光学を専門に教える大学や研究室が減り、光学技術者の人材不足が深刻化しているのが現状です。この研究室には世界的に有名な大企業から「人材を推薦してほしい」という依頼が数多く寄せられています。この研究室では、大学創立から約100年の間に先輩方が築いた光学の歴史を基に、最先端の研究を通して優れた人材を育成し、世に送り出すことが社会への大きな貢献であると考えています。

※所属・職名等は取材時のものです。

電気電子コース

現代社会に必要不可欠な技術エレクトロニクスを学び未来社会で貢献する能力を身につける

全ての産業の根幹であるエレクトロニクスを学び、未来を体感できます。最大の特徴は実験・実習にあり、回路製作やコンピュータを使ったモーターや表示装置の制御、材料の特性測定など、興味深い内容が目白押しです。少人数指導で安心して学びに挑戦できます。