研究

2020.11.4

建築で最も大切なのは情熱 それが人々の心を動かす原動力なのです

工学部 工学科 建築学系 建築コース 建築意匠Ⅱ研究室

山村 健 准教授 Takeshi Yamamura

教員プロフィール

やまむら・たけし
一級建築士。博士(建築学) 1984年生まれ。2006年早稲田大学理工学部建築学科卒業。2006-07年バルセロナ建築大学留学。2009年早稲田大学理工学研究科建築学専攻修了。2012年早稲田大学創造理工学研究科建築学専攻博士後期課程修了、博士(建築学)。2012-2015 年Dominique Perrault Architecture。2015年早稲田大学創造理工学部建築学科専任講師、2020年4月より東京工芸大学工学部建築学科准教授。2017年TKY-Lab開設。同年建築デザイン事務所YSLA ArchitectsをNatalia Sanz Laviñaと主宰。

アントニ・ガウディに魅せられて

 私が8才の時、アントニ・ガウディが設計したサグラダ・ファミリアを初めて見ました。その瞬間から私は建築が好きになりました。1992年、バルセロナオリンピックの年に父親の仕事の関係でスペインを訪れた時のことです。サグラダ・ファミリアを目の前にして私が思ったことは二つ。一つは「どうやって作ったのだろう」。そしてもう一つは「何でこんなことを考えたのだろう」。建築に対する二つの疑問は尽きることなく、私の生涯の研究のテーマになっています。大学では建築家でガウディの研究者としても名高い入江正之先生に師事し、博士論文も「建築家アントニ・ガウディ・イ・クルネットの建築論的言説における思想的系譜に関する研究」としてまとめました。私が一番興味を持っていることは「過去の建築から何を学ぶか」です。現在はスペイン人の建築家Natalia Sanz Laviñaと共に建築設計事務所YSLAを開設し、設計の仕事をしていますが、設計と研究を併走して行うことに意味があると思っています。実際の建物を設計することを通じて新たな発見があり、研究の対象は広がっていくのです。

サグラダ・ファミリア

1882年以来今もなお建設が続く、ガウディの代表作。完成までには数百年かかるといわれていたが、技術革新により、ガウディの没後100年にあたる2026年の完成を目途に工事が進められている。

アントニ・ガウディ

スペインが誇る建築家。1852年スペイン・カタルーニャ南部の街に生まれる。19~20世紀にかけてバルセロナを中心に活躍。彼が残した建築物は高く評価され、1984年「アントニ・ガウディの作品群」として世界文化遺産に登録された。

「建築写真」を研究していきたい

 私は建築と写真の関係についても強い関心を持っています。私たちは建築写真によって世界中の建築を学ぶことができますが、建築写真には何らかの手を加えられていることが多く、それを写真家は修正と呼び、建築家は加工と呼びます。過去の建築写真を紐解きながら、建築家と写真家が何を表現しようとしたのかを知ることはとても興味深いことだと思っています。なぜならば、建築は壊されると残るのは写真しかないからです。建築写真を学問として体系的に研究することは、これまで行われてきませんでした。東京工芸大学は小西写真専門学校を原点として、写真をルーツに持つ大学です。写真教育には100年の歴史を持っており、多くの優れた建築写真家を世に送り出してきました。私は建築学科の教員として、写真学科の先生と共に「建築写真研究」を「工芸融合研究」として展開していきたいと思っています。

情熱の炎を燃やせ

Light House:高田馬場に建つホテル。全ての階が一室のスイートとなっている。2020年6月竣工。YSLA設計
Garden of Eden:エルサレム・デザインウィーク イン 東京の空間構成。“DESIGNART TOKYO 2019  BIG EMOTIONS AWARD”(最高賞)を受賞。2019年10月。YSLA設計

 建築はおもしろい。論理的で、美しく、工学と芸術が結びついた最高に楽しい学問であり、仕事だと思っています。建築にとって最も大切なのは情熱です。人間の内面から湧き上がる炎、爆発するエネルギー。建築にはそういった力が必要であり、それが建物に表れ、訪れた人々の心を動かす原動力となります。私はそれを「馬力」と呼んで学生に伝えています。学生たちは情熱の火種をひとり一人が持っています。火種を教員が着火することは残念ながらできません。それは学生ひとり一人が自分で発火するしかありません。が、一度火がともってしまえば、くすぶっている火でも、我々教員がどんどんと風を送り、激しく燃える炎になることができます。学生時代は実際の建物を造ることはできません。課題がすべてです。しかし、その課題にどれだけ情熱の炎を燃やせるかが、その後の人生の大きな糧になると考えています。私は東京工芸大学の建築学科には高いポテンシャルがあると感じています。優れた設備と施設、優秀な先生方、そして、学生たちは素直に学びを吸収する力を持っています。私はこの環境の中で、学生たちと共に情熱の炎を燃やしていきたいと思っています。

※所属・職名等は取材時のものです。

化学・材料コース

学生一人ひとりの興味に応じた専門分野を学び社会で求められる建築のプロを目指す

少人数制の設計製図演習、充実した実験設備、そして教員と学生の距離の近さが最大の魅力。建築関連の基礎知識に加え、得意分野に合った専門知識を学ぶことで、建築の専門家を目指します。「建築」「構造」「環境」の3分野のデザインをバランスよく習得できる点も特徴です。