
研究
2020.4.13
人とロボットがお互いを尊重し、共に生きる世界を目指して
教員プロフィール
東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士課程修了後、同 大学院助手、助教を経て2010年に本学へ着任。 この間、英国ハートフォードシャー大学、スイスチューリヒ大学の客員研究員、武蔵工業大学非常勤講師、日本体育大学非常勤講師を兼任。人間とエージェントのコミュニケーション(HAI)など、人間と機械が共に生きる研究に取り組む。工学部学生部長。人工知能学会全国大会プログラム委員長。趣味はフットサル、卓球など。研究も遊びも常に本気が信条。
「心が通じるロボット(システム)」を創り出す

「ドラえもん」は「のび太」のために、時には励まし、時には叱り、常に寄り添って生きています。猫型ロボットと人間が深い信頼と友情によって結ばれている世界。そんなマンガやSFのような世界を創り出そうとしているのが「人間共生システム研究室」です。今ではAI(人工知能)の技術が飛躍的に進化し、碁や将棋の世界ではAIが人間のプロを負かすまでになっています。しかし、まだ越えられない壁があります。それは「心が通じ合う」ということ。人と機械が信頼しあい、お互いに尊重しあえる関係を作るために、この研究室ではヒューマン・エージェント・インタラクション(人間と擬人化した知的システムとの情報のやりとりを研究する新しい研究分野)によって、今まで越えられなかった壁を乗り越えようとしています。「人間は何を嬉しいと思うのか?」それを知るために、社会心理学、言語学、認知心理学などの人間を知る研究を行ない、システム作りに応用しています。
人間に近い高度な知能を実現する「人狼知能エージェント」

人はコミュニケーションを通じて行動します。相手の説得を信頼し、意思決定を行うのです。それでは「説得」とは何でしょうか。話の内容はもちろんですが、「話し方」「語りの抑揚」「身振り手振り」「表情」などが大切な要素になってきます。この研究室で行っている「人狼知能エージェント」では人間に近い高度な知能を実現するために、人狼(コミュニケーションゲーム)を行う人工知能を構築し、身振りや手振り、自然言語などを含めて人間と対戦するシステムを開発しています。この他にも様々なエージェントシステムの開発を行っています。例えば、「同乗者エージェント」は車のコンピュータと連動しながら、運転者の年齢や性格などを考慮して最も的確な「語りかけ」を行ってくれるロボットです。また、「教師エージェント」は人間の教師の代わりに分かりやすい授業を行うシステム。「Twitterを用いた盛り上がりの雰囲気再生」はTV番組のツイートを活用し、サッカー中継などをロボットと共に盛り上がって観戦できるシステムです。この他にも様々な可能性に挑戦してます。
自分の好きなことで世界を変えていこう

人と機械(ロボット)が生活空間を共に生きる世界。それはすごく研究範囲が広く、奥の深い世界です。学生たちは自分が「こうなったらいいな」と思うことをテーマに研究を行なっています。自分が思い描いている夢を実現し、世界を変えていこうとしているのだから、つまらない訳がない。楽しみながら夢中で研究に打ち込んでいます。そして私たちの研究は社会から求められている研究です。大企業もヒューマン・エージェント・インタラクションの研究には力を入れていて、卒業生たちは研究室で学んだことを活かした仕事をしている人が多いのが特徴です。学生たちにはいつも「遊びも研究も本気でやれ」と言っています。遊びの中に人間の本質があります。人間が「おもしろい」とか「楽しい」と思えることを機械によって具現化する研究を行なっているのですから。
※所属・職名等は取材時のものです。
コンピュータの基礎から最先端の人工知能までを学び将来の選択肢を広げる
コンピュータを自由自在に操り、社会問題を解決できる能力を身につけます。コンピュータの基礎・専門知識の獲得にとどまらず、その知識と技能を活かして、様々な分野へ挑戦していける広い視野と応用力も養います。実習科目に加え、多彩な講義を用意しています。
