施設

2017.6.15

様々な風をシミュレートし人間・建築物・都市への影響を調べる

厚木キャンパス
風工学研究センター

東京工芸大学厚木キャンパスの一角にある風工学研究センターは、風が人間・建築・都市に及ぼす影響を研究する,世界的にも珍しい数々の実験施設を備えた研究所です。2013年には文部科学省により共同利用・共同研究拠点の一つとして「風工学研究拠点」に選定され、全世界の研究機関と連携し、風工学の発展に寄与しています。風工学研究センターの実験設備の一部をご紹介します。

複雑なビル風を予測する

大型境界層風洞

オフィス街に建設される超高層ビルや郊外に建設される高層タワーマンションの周辺では,建物から吹き下ろす強烈なビル風に悩まされることがあります。過去には軽自動車が横転したり,街路樹が根こそぎ倒れる被害が報告されたこともあります。このようなビル風を設計段階で予測し,建築物の配置や形状のデザインに反映させるために大型乱流境界層風洞で実験が行われます。

ビル風は上空と地表を流れる気流の速度や建物の形など様々な要因が複雑に絡み合って発生し、予想外の動きを見せます。研究センター内の大型境界層風洞では200分の1〜1000分の1のスケールで再現された街並みモデルを使って、実際に吹く風の流れをシミュレートできます。さらに建物自体にかかる風圧を計測して耐風設計に反映させ,構造安全性にも寄与します。一見奇抜に見える高層ビルのデザインも、実はこうしたビル風対策や耐風構造を考慮した結果だったりもするのです。

竜巻を人工的に発生させる

竜巻状気流シミュレータ

近年、大きな被害をもたらす竜巻が日本でも発生していますが、突発的に発生し短時間で消滅する自然界の竜巻を観測することはとても困難です。こうした竜巻を人工的に発生させ、水ミスト(霧)とレーザーを用いて可視化するのが竜巻状気流シミュレータです。旋回状気流の流れを計測し、竜巻が建築物に及ぼす影響を分析することができます。

人工気候室とサーマルマネキン

人工気候室内に設置された発汗サーマルマネキン

風工学研究センターでは、ビル風や竜巻のような屋外の現象だけでなく、屋内の気流も研究しています。研究センター2階の人工気候室では48台のファンと空調機で気流と温湿度を制御して、様々な条件下の室内環境を再現し、窓から吹き込む風(通風)の利用による空調エネルギーの削減効果を検討したり、快適性や知的生産性と室内環境との関係などを分析することができます。

また、発汗サーマルマネキンと呼ばれる、「汗」をかくことのできる模擬人体を用いて実験を行うことで、個人差や体調変化の影響を受けない条件下で、人体と環境との熱授受や部位別の表面温度などを精密に測定し、人が暑さや寒さを感じる要因を部位別に分析することもできます。

風工学研究センターにはこの他にも、PM2.5などの汚染物質の拡散やヒートアイランド現象などをシミュレートできる温度成層風洞、台風などの強風から建物の外装材がどのような被害を受けるかを分析する耐風圧性能試験機など様々な実験施設があり、風工学の世界的拠点として幅広い研究を行なっています。

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